前提として、傷病手当金と失業保険は、給付を同時に受け取ることはできません。
社会保険の給付を受けてから満期又は、任意のタイミングで雇用保険の給付へ切り替える形となります。
診断結果の補足(計算結果について・受給期間に差がある理由)
このページは、診断結果に出てくる計算結果の詳細、「最長12ヶ月〜最長30ヶ月」という幅について補足するためのページです。
(※最終的な可否・日数・金額は、加入状況や医師の判断、申請時の手続により申請後に確定します。)
まず押さえるポイント:2つの制度の前提が違います。
・傷病手当金(健康保険)
→「病気やケガで仕事に就けない」状態が前提
・失業保険(雇用保険)
→「働く意思と能力があるのに就職できない(求職できる)」状態が前提
この前提が違うため、同時に受け取るのではなく、体調の回復状況などに応じて順番に切り替える形になることが多いです。
傷病手当金(健康保険)の申請対象になりやすい状態
代表的には、次の条件を満たす場合に対象となり得ます。
・業務外の病気やケガで療養している
・仕事に就くことができない
・連続する3日間(待期)を含み4日以上仕事に就けない
・休業期間に給与の支払いがない(または傷病手当金より少ない)
支給期間の上限は「支給開始日から通算1年6か月」です。
(途中で不支給期間があっても、通算で1年6か月までが上限という考え方です)
雇用保険(失業保険)の申請対象になりやすい状態
雇用保険の基本手当は、原則として次の要件が前提になります。
・ハローワークで求職申込みを行っている
・就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力がある
・積極的に求職活動しているが就職できない(失業の状態)
・原則:離職日前2年間に被保険者期間が通算12か月以上
基本手当の所定給付日数(支給される日数)は、年齢、被保険者期間、離職理由などによって90日〜360日の範囲で決まります。
体調不良がある場合に「対象になり得るか」を見るポイント(加入期間の目安も含む)
体調不良がある場合、状況によっては「社会保険(健康保険)」や「雇用保険(基本手当)」の制度上、有利な条件で申請対象になり得る可能性があります。
ただし、給付は体調不良=自動的に受け取れるというものではなく、制度ごとに前提条件(状態・加入状況・手続き)が定められています。
このため、まずは「いまの状態」と「加入期間」をセットで確認しておくと、見通しが立てやすくなります。
① 社会保険(健康保険)の「1年以上継続加入」が出てくる理由
「社会保険(健康保険)に1年以上継続加入」という表現がよく出てくるのは、主に退職後も傷病手当金を継続して受け取るために、加入期間が重要になるためです。
在職中に申請する場合と、退職後も継続して受け取る場合とで、確認点が変わるため難しい部分があります。
なお、傷病手当金の前提は「療養のため医師より傷病手当金の申請への承諾を得ている」「無給状態(退職後でも働いて給料をもらってはいけない)」などの要件を満たすことです。
② 雇用保険の加入期間:「直近2年間で1年以上加入」の意味(原則)
雇用保険(基本手当)の受給資格では、原則として離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが求められます。よく「直近2年で1年以上」と表現されるのは、この原則を分かりやすく言い換えたものです。
ここでいう「12ヶ月」は単純な在籍月数ではなく、月ごとに区切った期間の中で、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上または賃金支払いの基礎となった時間が80時間以上ある月を「1ヶ月」として数えるルールがあります。
そのため、働き方(欠勤や時短、休職が多い等)によっては、同じ在籍期間でもカウント結果が変わることがあります。
また、倒産・解雇等の理由や、やむを得ない理由で離職した場合などは、離職日以前1年間で6ヶ月以上でも可とされる例外があります。自分がどの区分にあたるかで必要な加入期間が変わるため、購入前に加入条件を満たしているかを事前に確認する必要があります。
給付は同時に受け取れないため「順番に切り替える」考え方になります
診断結果で28~30ヶ月の給付は「社会保険(傷病手当金)→雇用保険(基本手当)」のように、順番に受け取る想定になっているのは、それぞれの制度が前提としている状態が異なるためです。
① なぜ同時受給ができないのか(制度の前提が違う)
傷病手当金は、基本的に「療養のため仕事に就けない(労務不能)」状態を支える制度です。
一方、雇用保険の基本手当は、「就職しようとする意思があり、就職できる能力があるにもかかわらず、失業の状態にある」人を対象にしています。
つまり、制度上の前提として、「働けない状態」と「働ける状態で求職している」は同時に成立しにくい設計になっています。
ハローワークの案内でも、病気やけがのためすぐには就職できない場合は基本手当を受けられない例として挙げられています。そのため、体調面の状況に応じて、先に傷病手当金を検討し、回復後に失業保険の申請へ移行するという流れになることが一般的です。
② 切り替えの基本イメージ(満期だけでなく、状態に合わせて)
切り替えは「必ず満期(最大18ヶ月間)まで受けてから」という意味だけではありません。体調・就労可否・求職ができる状態かといった実態に合わせて、申請を進めることもできます。
ただし「任意で切り替える」といっても、単に気分で選ぶのではなく、体調に合わせてそれぞれの制度が申請できる状態なのかが重要です。
イメージとしては、次のような流れで考えると整理しやすいです。
- 療養が必要・体調不良で就労が難しい
- 療養期間の状況が整い、傷病手当金の申請
- 回復して「求職できる状態」になった段階で、雇用保険(失業保険)の手続きへ
- ハローワークで求職申込み・認定を受け、受給が進む
このように、ポイントは「どちらを先に取るか」よりも、いま、制度上どちらの状態に該当しているかです。
体調が不安定な時期に無理に求職扱いにすると、手続きがスムーズに進まない可能性もあるため、状態整理が重要になります。
③ 病気等ですぐ働けない場合は「受給期間延長」が関係することがあります
雇用保険には「受給期間(失業保険を受けられる権利の有効期間)」があり、原則は離職日の翌日から1年以内に受給手続きを進める必要があります。
ただし、病気やけが等の理由で引き続き30日以上働けない場合(傷病手当金の申請ができている状態)は、その期間分、受給期間を延長できる制度が利用できます。
給付金額は「申請時に確定」します(目安の割合と、1日単位の考え方)
診断結果では給付額を概算で示していますが、実際の支給額は、あくまでも加入状況や申請書類、賃金の情報などをもとに、手続きを進めて確定します。
「額面月収の約6〜7割」というイメージは、制度の種類によって近い場合が多いという意味合いで捉えると分かりやすいです。
① 社会保険(傷病手当金):基本は「1日あたり×対象日数」で決まります
傷病手当金の金額は、月額で一律に決まるのではなく、1日あたりの金額を出し、支給対象となる日数分が支給される仕組みです。
協会けんぽの案内では、1日当たりの金額は概ね次の考え方で算出されます。
- 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均を出す
- 平均額を30日で割って日額にする
- その日額に2/3を掛ける(概ね給与の3分の2程度のイメージ)
また、傷病手当金には待期(連続する3日間)があり、4日目以降の「休んだ日」に対して支給されます。
そのため、実務上は「休業日が何日あるか」「給与が支払われていないか(または差額調整になるか)」「支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均がいくらなのか」によって、支給額が変動します。
この点が、単純に月収の○割×○ヶ月とは一致しない理由のひとつです。
② 雇用保険(基本手当):賃金日額に対して「約50~80%」が目安
雇用保険の基本手当も、実際には「1日あたりの金額(基本手当日額)」で管理されます。
ハローワークの案内では、基本手当日額は、原則として賃金日額のおよそ50~80%(60~64歳は45~80%)となり、賃金の低い方ほど高い率になる仕組みが示されています。
さらに、年齢区分ごとに上限額が設けられているため、賃金が高い方ほど割合通りにならない場面もあります。
また、賃金日額は「離職前6ヶ月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等を除く)の合計を180で割る」方法で算出されます。そのため、残業代の増減、手当の内訳などによって、体感と計算結果がズレることもあります。
③ 「申請時に確定する」とはどういう意味?
傷病手当金も失業保険も、概算の目安は出せますが、最終的には提出書類に基づく確認・認定を経て確定します。
傷病手当金は、医師の記載(労務不能の期間等)と事業主の証明(休業状況・賃金支払い等)が揃った上で、保険者が支給額を算定します。退職日以降の申請期間においては事業主の証明は不要になります。
雇用保険(失業保険)は、離職票等の賃金情報と、求職の手続き・失業認定の流れの中で、基本手当日額や支給日数が計算されます。さらにハローワークへ提出する書類の内容によっても審査結果は変わってきます。
このように、「月収の何割」という表現はあくまでイメージを掴むための近似であり、実際には1日単位での算定・認定の日数の合計額が支給額となります。
期間が「10~12ヶ月」について
・メンタルの不調はあったが離職後、比較的早期に求職できる状態になっている
・雇用保険の要件、最大期間受給する要件を満たしており、所定給付日数が最大300~360日となる場合
→表記上「最長10~12ヶ月(目安)」となります。
期間が「28~30ヶ月」について
・まずはメンタルの不調が理由はあったため離職前から傷病手当金の対象となる
・離職後にも傷病手当金の申請を行う
・回復後に求職できる状態になり、雇用保険(失業保険)へ切り替える
この場合、目安として「傷病手当金(最大18ヶ月)+雇用保険(最大10~12ヶ月)=最大28~30ヶ月」という上限合算の見立てになります。
病気等ですぐ働けない場合の注意
離職後、病気やケガ等で「すぐに就職できる状態ではない」場合、雇用保険(失業保険)はそのままだと受け取れないことがあります。
このとき、30日以上継続して職業に就けない場合は、受給期間延長の制度が利用できます(最大4年まで延長できます)。これしておくことによって、1年経過後でも失業保険の申請ができます。
⇒診断結果の最大期間表記に関する補足説明はこちらをご参照ください。
下記の内容も確認を行っておくようにしてください!

